千早赤阪村野外美術展in金剛山-2006-によせて

 2006年度千早赤阪村野外美術展in金剛山はロープウエイ開業40周年記念事業として、村からの提案で、実施することになった。
この展覧会は台風の接近を心配しながらの搬入に始まり、秋風がさわやかな美しい自然を背景に50人のアーティストとスタッフにより、46点の作品が設置され、9月30日にはパフォーマンスと舞踏が催された。
外国からのアーティストも加わり国際的な美術展となった。
最初の一週間は搬入制作期間であった。金剛山に訪れる人々の反応は様々で、興味深く鑑賞する人がいる反面「何のまじないか?」「けがらわしい!」など否定的な人も少なくなかった。
野外美術展を初めて見る人、あるいは、りっぱな彫刻が並ぶと思っていた人には、奇異な印象を与えたのかもしれない。
野外美術展とは展覧会が終わって片づけてしまえば、まるで何かの夢の後である。
しかし、奇妙に思われた展覧会も鑑賞した人々の心の片隅に残り、何年か後にそういえばあの時いいアートに出合った、と気づいてもらえるのではないだろうか、私などはいつもその時、いいと思えず、ちらっと一瞥しかしなかったものが、後年になって、その良さに気づかされることが多い。
この展覧会には様々な作品が出そろった。
展覧会後は跡形もなく消えてしまうこの場だけで生きる作品があれば、この展覧会のために何日も石を彫った手作業の傑作を交えた作品もある。
木々の梢にスクリーンが光と陰を映し出したり、土中をのぞくと白い花が見えたり、展望台に三角の小さな黄色い旗が沢山並んではためいたり、ユーモラスな漫画があったり、谷底を見下ろす絶対乗れない危険なブランコや、期間中ずっと作り続けた大きな竹のミッキーマウスもあった。屋内展示には映像もあり、絵画も展示された。
9月30日のパフォーマンスと舞踏は、木々や秋の空をバックに既存の美術館や画廊では見られない独自なアートが展開された。まさに、海抜1000mで繰り広げられた、自然と人工と芸術の饗宴であった。
秋風が寒くなり空には鱗雲が現れ、もみじが赤くなり始める頃、展覧会は終わりを向えた。

最後にこの展覧会の初期段階での打ち合わせが不十分であったため、沢山の方々に、ご迷惑をお掛けしたことをお詫び致します。
また、ご協力、ご協賛いただいた方々、遠くからこの展覧会に足を運んでいただいた方々、心から御礼申し上げます。
千早赤阪村野外美術展実行委員 櫻井 淳子

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